多軸ロボットの種類【垂直多関節 / SCARA / 直交 / パラレル / 協働 / 双腕 / 移動ロボットまで徹底解説】

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産業用ロボットの種類

産業用ロボットと一言で言っても、その構造(方式)によっていくつかの種類に分類されます。それぞれ得意な作業や動作範囲が異なるため、目的に応じて適切な方式を選ぶことが重要です。

ここではメーカー名ではなく、ロボットの形(方式)の種類に焦点を当てて解説します。

1. 垂直多関節ロボット(6軸ロボット)

人間の腕に最も近い構造を持つロボットです。関節がベースから先端に向かって6つの軸(6自由度)を持ち、複雑な姿勢を取ることができます。

特徴:

  • 6自由度で手先の位置と向きを自由に制御可能
  • 可動範囲が広く、上下左右あらゆる方向にアクセスできる
  • 設置面積が比較的小さい割に動作範囲が広い
  • 人間の代わりになる作業をさせるのに最も適した形状

主な用途: 溶接、塗装、組立、搬送、切削加工のワーク着脱など。工場のロボットと言えば、まずこれを想像する人が多いでしょう。

2. 水平多関節ロボット(SCARAロボット)

水平方向に2つの関節を持ち、上下方向は直動(Z軸)で動作するロボットです。名前の由来は Selective Compliance Assembly Robot Arm(選択的コンプライアンス組立ロボットアーム)。

特徴:

  • 水平方向は柔軟(コンプライアント)で、垂直方向は剛性が高い
  • 水平方向の高速動作が得意
  • 構造がシンプルで制御も比較的容易
  • 6軸に比べて安価

主な用途: 基板への部品実装、ピック&プレース、軽量部品の組立、ネジ締め。電子機器の製造ラインで大活躍しています。

3. 直交ロボット(Cartesian Robot / リニアロボット)

X軸・Y軸・Z軸の直線運動を組み合わせたロボットです。ガントリーロボットとも呼ばれます。

特徴:

  • 直交座標系で動くため制御がシンプルでわかりやすい
  • 高剛性で大きな荷重を扱える
  • 動作範囲を自由に拡張できる(長尺レールの追加など)
  • 速度は比較的遅い

主な用途: 工作機械へのワーク搬送、大型部品の組み立て、3Dプリンタ、CNC加工機、検査装置。高校の技術科で習う「3軸加工機」のイメージです。

4. パラレルリンクロボット(Delta Robot / ゲンコツロボット)

複数のアームが並行(パラレル)に連結された構造のロボットです。3本または4本のアームが同時に動いてエンドエフェクタを制御します。日本では「ゲンコツロボット」の愛称で親しまれています。

特徴:

  • 超高速動作が可能(毎分200回以上のピック&プレースも可能)
  • 軽量な構造で省エネ
  • 垂直方向の動作範囲は狭い
  • 可搬重量は比較的小さい(通常1〜10kg)

主な用途: 食品の仕分け、医薬品のピッキング、電子部品の高速実装。まさに「ゲンコツ」で物を掴んで高速移動させるイメージです。

5. 協働ロボット(Cobot / Collaborative Robot)

近年急速に普及しているのが協働ロボットです。従来の産業用ロボットとは異なり、安全柵なしで人間と同じ空間で作業できるよう設計されています。

特徴:

  • 力覚センサーやトルク制御により、人との接触を検知すると即停止
  • 安全柵が不要なので導入コストが低い
  • プログラミングが簡単(ティーチングペンダント不要の機種も多い)
  • 可搬重量は小さめ(通常3〜20kg)で速度も控えめ
  • 国内では電動シリンダーなどでもおなじみのIAIや、世界的にはデンマークのUniversal Robots(UR)が有名

主な用途: 人手不足を補う軽作業(機械へのワーク着脱、検査、軽組立)、多品種少量生産での導入が増えています。ただし「協働ロボット」だからといってすべての作業が無条件で安全というわけではなく、設置前にリスクアセスメントが必要です。

6. 双腕ロボット

人間のように左右2本のアームを持つロボットです。1台で2本のアームを協調させながら作業できます。

特徴:

  • 両腕で部品を保持しながら加工できる
  • 人間と同じ作業スペースで動けるため、既存の作業台に導入しやすい
  • 制御が複雑で高価(6軸×2本+ベースで13軸以上になることも)
  • 代表機種:ABB YuMi、安川電機 MOTOMAN-SDAシリーズ

主な用途: 精密部品の組立、コネクタ挿入、小物のサブアセンブリ。双腕であることで、片方の腕で部品を固定し、もう片方でネジ締めや圧入を行うといった人間らしい動作が可能です。

7. 移動ロボット(AMR / AGV + ロボットアーム)

ロボットアームに移動機能を組み合わせた方式です。AGV(無人搬送車)やAMR(自律移動ロボット)の上にアームを搭載することで、工場内を移動しながら作業ができます。

特徴:

  • 1台で複数の工程をカバーできる
  • ライン変更に柔軟に対応可能
  • AGVは磁気テープやレール追従、AMRは自己位置推定で自由移動
  • バッテリー駆動時間と可搬重量のトレードオフがある

主な用途: 倉庫内のピッキング、工場内の部品運搬+投入、クリーンルーム内の自動搬送。EC(電子商取引)の倉庫自動化で特に需要が伸びています。

その他の方式

円筒座標ロボット: 上下(直動)+旋回+伸縮の3軸で構成。円筒状の動作範囲を持ち、比較的シンプルな構造で広い範囲をカバーできます。

極座標ロボット: 旋回と上下の関節に加えて、アームの伸縮で動作する方式。現在はほとんど使われていませんが、初期の産業用ロボットの基本形でした(ユニメイトなど)。

まとめ:ロボットの種類と選び方の指針

方式 自由度 速度 精度 価格帯 得意な作業
垂直多関節(6軸) 6 中〜高 複雑な組立・溶接・塗装
SCARA(4軸) 4 水平方向の高速ピック&プレース
直交(3軸〜) 3〜6 低〜中 中〜高 低〜中 直線的な搬送・加工
パラレルリンク 3〜4 超高速 高速ピッキング・仕分け
協働ロボット 6〜7 低〜中 中〜高 人との協調作業・多品種少量
双腕ロボット 12〜14 非常に高 両手を使う精密組立
移動ロボット+アーム 6+移動 複数工程の巡回作業
2軸/3軸簡易型 2〜3 単純な持ち上げ・位置決め

ロボット選定の基本は「必要な作業に必要な自由度を、最小限の軸数で実現する」ことです。高機能な6軸を買えば何でもできますが、コストがかかります。近年は特に協働ロボットが人手不足解消の切り札として注目されており、安全柵不要で導入しやすいことから中小企業でも導入が進んでいます。作業内容に合わせて最適な方式を選びましょう。

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