LM StudioでPLCプログラミング|Tool Use対応モデルとQuadro GPUでのローカルLLM運用

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ローカルLLMでPLCプログラミング:なぜ今LM Studioなのか

OpenCodeやCursor、GitHub CopilotなどのAIコード生成ツールは非常に便利ですが、API利用料が従量課金で毎月数千〜数万円かかることがあります。また産業用途では「PLCのプログラムを書くためだけに毎月課金するのはもったいない」「社外のクラウドサービスにプログラム内容を送信したくない」というニーズがあります。

そこで注目なのがLM Studioを使ったローカルLLMです。自社のPC内で全て完結するため、課金ゼロ・データ漏洩リスクゼロでAIコード生成が可能です。

ただし、LM StudioでPLCコードを生成させるには、「Tool Use(ツール呼び出し)」に対応したモデルを選ぶ必要があります。単にチャットでコードを表示してくれるだけでなく、実際にファイルを作成・保存させたい場合は、この点が重要です。

LM Studioとは

LM Studioは、ローカルPCでLLM(大規模言語モデル)を実行するための無料アプリケーションです。

  • 完全オフライン:インターネット接続不要。自社PC内で完結
  • 無料:アプリもモデルも無料。API課金なし
  • Tool Use対応:API経由で外部ツールを呼び出し、ファイルの作成・保存が可能
  • チャット形式:ChatGPTのように会話しながらコード生成を依頼できる
  • モデルの入れ替え自由:Hugging Faceから数千種類のモデルをダウンロード可能
  • OpenAI互換API:OpenCodeやContinue.devからローカルのLM Studioに接続可能

Tool Use(ツール呼び出し)対応が必須の理由

LM StudioでPLCプログラムを生成するだけならチャットでも可能ですが、生成したコードを実際にファイルとして保存・活用するには、モデルが「Tool Use」に対応している必要があります。Tool Useを使うことで、LLMが外部の関数を呼び出し、ファイルの作成・編集・保存といった操作を実行できます。

LM Studioでは、モデル一覧に工具(ハンマー)のアイコンが表示されているモデルがTool Useに対応しています。マウスを重ねると「This model has been trained for tool use.」と表示されます。

Tool Use非対応のモデルは、コードを表示することはできても、実際にファイルを作成することはできません。PLCプログラムを実務で活用するなら、Tool Use対応モデルを選びましょう。

Tool UseはLM StudioのREST API(OpenAI互換エンドポイント)を介して利用します。PythonなどのプログラムからAPIを呼び出し、LLMの応答に応じて関数を実行し、結果をLLMにフィードバックする流れになります。

必要なハードウェアスペック

GPUの選び方

ローカルLLMの性能はGPUのVRAM(ビデオメモリ)が最も重要です。以下の表を目安にしてください。

モデルサイズ RAM GPU VRAM CPUのみでも動作 推奨用途
3B〜7B(小さめ) 8GB〜 4GB〜 可能(やや遅い) 簡易なコード生成・コメント作成
7B〜13B(中程度) 16GB〜 6GB〜8GB 可能(7Bまでは可) 実用的なPLCコード生成 【おすすめ】
30B〜70B(大きめ) 32GB〜 12GB〜24GB 不可 高品質なコード生成。ただし処理が遅い

現場のワークステーションはQuadro GPUがほとんど:どうすればいいか

工場の設計・図面作成用ワークステーションには、NVIDIA Quadroシリーズ(現行はRTX Aシリーズ)が搭載されているケースが大半です。Quadro GPUでもLLMの推論は問題なく動作します。

GPU VRAM 動かせるモデル
Quadro RTX A2000 6GB 7Bモデル(量子化版)まで
Quadro RTX A4000 16GB 13Bモデルまで快適
Quadro RTX A5000 24GB 30Bモデルまで可能
Quadro RTX A6000 48GB 70Bモデルも動作可能

Quadro GPUのメリットはVRAMが大きいこと(A6000で48GB)です。LLMの推論ではVRAMの容量が最も重要なので、むしろ有利なケースもあります。ただし、GPUのコアクロックはGeForce RTXより低いため、トークン生成速度(1秒あたりの出力単語数)はGeForceより若干遅くなります。実用上は許容範囲です。

GPUがない場合や、GPUが古い場合でも、CPUのみで7Bモデルまでは動作します。LM StudioはCPU推論にも対応しているため、GPUがない産業用PCでもQwen 2.5 Coder 7B程度ならストレスなく動きます。速度はGPUの1/5〜1/10程度になりますが、コード生成程度の用途なら十分実用的です。

PLCコード生成に最適なTool Use対応モデル

実際にテストした結果に基づくおすすめモデルです。特にTool Use対応(LM Studioで工具アイコン表示)の有無が重要です。

モデル名 サイズ PLCコード生成 日本語 Tool Use おすすめポイント
Qwen 2.5 Coder 7B 7B ◎ 強い ◎ 日本語良好 Tool Use対応 一押し。7Bながらコード生成能力が高い。16GB RAMで快適。Tool Use対応
DeepSeek Coder V2 Lite 16B ◎ 強い Tool Use対応 コード生成特化。Tool Use対応。VRAM 8GB以上推奨
Llama 3.1 8B 8B 〇 良好 △ 英語前提 Tool Use対応 Tool Use対応。汎用性能は高いが日本語は英語指示の方が精度が出る
DeepSeek Coder 6.7B 6.7B 〇 良好 △ やや苦手 △ バージョンによる コード生成では定評。Tool Use対応有無を確認してから導入

総合おすすめ:Qwen 2.5 Coder 7B

  • コード生成精度が高く、日本語の指示もよく通じる
  • 7Bなので16GB RAMの産業用PCでも快適に動作
  • Tool Useに対応しているため、ファイルの作成・保存が可能
  • LM StudioのHugging Faceブラウザから直接ダウンロード可能

各PLC言語に対する生成精度

GX Works(三菱MELSEC シーケンサ)

最も需要が高いPLC言語。Qwen 2.5 Coder 7Bで実用的なレベルです。

LLMがラダー図の説明テキストと、シーケンサの命令語リストを出力。GX Worksのラダーでそのまま打ち込める形式で回答します。

実際に試した結果:生成されたコードをCSVファイルに書き出し、直接編集してGX Worksからインポートすることで完了します。Tool Useでファイルを自動生成させれば、手作業の編集も最小限に抑えられます。

KV Studio(キーエンス KVシリーズ)

KV Studio専用の命令セット(K型命令)にも対応可能。キーエンスのマニュアル的な知識も持っています。

実際に試した結果:プロジェクトフォルダを指定しておけば、KV Studioが自動的にファイルを読み込んで直接編集してくれます。Tool Useでプロジェクトファイルを操作するよう定義すれば、編集から反映まで自動化できます。

IAI SEL言語(IAI ロボット・アクチュエータ)

IAIのSEL言語は比較的ニッチですが、Qwen 2.5 Coderでも基本的な命令は理解しています。

実際に試した結果:テキスト形式でそのまま貼り付け可能なコードを生成してくれます。SEL言語はテキストベースのため、生成されたコードをコピーしてIAIのソフトウェアに貼り付けるだけで完了します。最も手間が少ない形式です。

LM Studioの導入手順(簡易版)

  1. LM Studioをダウンロード:https://lmstudio.ai/ からWindows版をダウンロードしてインストール
  2. モデルをダウンロード:LM Studio内の「Search」タブから「Qwen 2.5 Coder 7B」を検索しダウンロード。工具アイコンが表示されていることを確認
  3. モデルをロード:ダウンロードしたモデルを選択し、ローカルサーバーを起動(Developerタブ)
  4. API経由で接続:OpenAI互換API(http://localhost:1234/v1)に接続し、ツール定義と共にリクエストを送信

まとめ

ローカルLLMを使ったPLCプログラミングは、課金ゼロ・データ漏洩リスクゼロで実現可能です。特にLM StudioはTool Useに対応したモデルを選べば、実際にファイルを作成・保存する実務的な活用ができます。

現場のワークステーションによく搭載されているQuadro GPUでも、VRAMが十分であれば問題なく動作します。Quadro A4000(16GB)なら13Bモデルまで快適に動かせます。GPUがない場合でもCPUのみで7Bモデルは動作するため、まずは手持ちのPCで試してみることをおすすめします。

出典

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