製造現場の管理職として、自分も含め周りの管理職が遅くまで残っているのをよく見ます。かつてはそれが「頑張っている証拠」とされました。しかし今の考え方ではどうなのでしょうか。長時間労働の実態と、現代がどう見ているかを整理します。
私が現場で感じること
私自身も管理職です。ただ、私の周りは私以外みんなが定時で帰宅します。毎日遅くまで残っているのは私ひとりです。
ふと気になります。彼らは私のことをどう見ているのでしょうか。遅くまで仕事を頑張っていると思ってくれているのか。それとも、ただ哀れに思っているだけなのか。
後者のほうが怖いです。敬意ではなく同情を集めていたとしたら、管理職としての立場は空回りしています。
昨今は昇進したくない人のほうが多いと聞きます。その理由の一端は、まさにこのようなつらい管理職を目の当たりにして、「自分はそうなりたくない」と感じているからではないでしょうか。
現場のリアルを突きつけられると、長時間労働を美徳とする限界が見えてきます。
管理職の残業の実態
総務省の2024年5月の調査によると、全産業の管理職の1日の就業時間は平均で8.5時間です。法定労働時間は1日8時間ですから、管理職は毎日30分〜2時間程度の残業をしている計算になります。業種によってはさらに長く、情報通信機械器具製造業では週平均60時間働いている結果も出ています。
遅くまで働くことは「正解」か
現代の働き方改革の考え方では、長時間労働は美徳とはされません。理由は明確で、疲労やストレスが蓄積すると集中力や判断力が落ち、ミスやトラブルを招くからです。部下の残業を減らすために自分が残業する「身代わり残業」も、構造的な問題を直していないので根本解決になりません。
なぜ生産性が下がるのか(データから)
長時間働くことが逆効果になるのは、睡眠や疲労の研究からも裏付けられています。
- 米国の実験では、睡眠が3時間、5時間、7時間の群は、9時間群に比べて作業中の反応ミスが明らかに増えました
- 週労働時間が51〜60時間を超えると、昼間の過度の眠気や疲労回復不全の割合が増え始め、66時間以上では2倍以上に跳ね上がります
- 睡眠不足は判断力や創造性を低下させ、日中のパフォーマンスを落とします
つまり「遅くまでやった分、次の日の質が落ちる」という構造です。
現代の考え方 何を評価すべきか
今求められているのは、長く働くことではなく、短い時間で成果を出す仕組みを作ることです。管理職に期待される役割は、自分が残業することではなく、以下のようなことです。
- 部下の労働時間を把握し、過剰な残業を防ぐ
- 業務を可視化し、効率化の工夫をする
- 部署全体の意識を、時間内に終わらせる方向に変える
遅くまでいることが「頑張り」ではなく、むしろ「仕組みができていない証拠」と見なされる流れにあります。
まとめ
残業ばかりする管理職を無条件に尊敬する時代ではありません。大切なのは、長く働くことではなく、チームが定時で成果を出せるようにすることです。自分が残業する前に、なぜ残業が必要なのかを分析し、仕組みで減らすのが今の管理職に求められる姿勢です。

