エアシリンダの推力選定ガイド|押す力・挟む力を一覧表で確認しロードセルで実測する方法

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エアシリンダの推力は「エア圧」と「シリンダ径」で決まる

エアシリンダが押す力(推力)は、以下の関係で決まります。

推力は「エアの圧力が高いほど強く、シリンダが太いほど強くなる」

具体的な計算式は「圧力 × ピストンの面積」ですが、実務で覚えるべきは上の関係だけです。工場のエア圧は通常0.5MPa程度で固定されているケースが多く、実質的にはシリンダの太さ(ボア径)で推力を選ぶことになります。

押し出し側と引き込み側で推力が違う

エアシリンダにはロッド(ピストン棒)がついています。このロッドの断面積のぶんだけ、引き込み側の推力は押し出し側より約10%弱くなります

  • 押し出し側:ピストン全体の面積で押す → フルパワー
  • 引き込み側:ロッドの太さのぶん面積が減る → やや弱い

クランプや保持のように「引き込んで固定する」用途では、この違いを考慮しておかないと力不足になります。

理論推力と実推力の違い

上記の計算で出るのは「理論推力」です。実際のシリンダにはパッキンの摩擦や配管抵抗があるため、理論値より低くなります。

設計で使う目安:実推力 = 理論推力 × 50〜70%

  • 水平・低速の搬送:70%程度見ておく
  • 垂直方向(押し上げ):重力に逆らうため30〜40%と余裕を持つ
  • 高速動作:50%程度で考える

つまり、理論値で100kgf出せるシリンダでも、実際に安定して使えるのは50〜70kgf程度と考えて選定します。

ボア径別の推力一覧(0.5MPa時)

工場エアの標準圧力0.5MPaでの推力を一覧にしました。シリンダを選ぶときの参考にしてください。

ボア径 押し出し推力 引き込み推力 目安の使い道
Φ20 157N(16kgf) 101N(10kgf) 小型部品の押し出し、センサー作動
Φ25 245N(25kgf) 189N(19kgf) 軽量ワークのクランプ
Φ32 402N(41kgf) 346N(35kgf) 中程度の押し付け、ストッパー
Φ40 628N(64kgf) 572N(58kgf) 一般的なクランプ、押し出し
Φ50 981N(100kgf) 925N(94kgf) 中重量ワークの搬送
Φ63 1,558N(159kgf) 1,502N(153kgf) 大型ワークのクランプ
Φ80 2,513N(256kgf) 2,457N(251kgf) 金型クランプ、プレス補助
Φ100 3,927N(400kgf) 3,871N(395kgf) 強力な押し付け、大型設備

※実際の値はメーカー(SMCコガネイCKDなど)のカタログで確認してください。ロッド径は12mm想定で計算しています。

挟む力(クランプ力)はテコ比で変わる

シリンダで直接挟むのではなく、リンクやテコを介してクランプする場合、テコの比によってクランプ力が変わります

例えば、シリンダ側のアームが2でクランプ側が1の場合、クランプ力はシリンダ推力の半分になります。逆に、テコ比を工夫すれば小さなシリンダでも大きなクランプ力を得られます。

クランプ機構を設計するときは、「シリンダの推力」ではなく「クランプ点で実際に何kg出ているか」を必ず確認しましょう。

欲しい推力からボア径を逆算する方法

「◯◯kgの力が必要」と決まっている場合は、上の一覧表から該当するボア径を選べばOKです。目安として、計算上必要な推力の1.5〜2倍の余裕があるボア径を選んでください。

JIS規格のボア径は、Φ6, 10, 16, 20, 25, 32, 40, 50, 63, 80, 100mmです。数値が飛び飛びなので、選定は一覧表を見ながら行うのが現実的です。

ロードセルで実測する方法

「計算上は大丈夫なはずなのに、実際の装置で想定通りに動かない」という経験はありませんか?計算値はあくまで目安です。実際の推力を確認するにはロードセル(荷重計)で実測するのが確実です。

測定の手順

  1. ロードセルをシリンダと負荷の間に配置する
  2. ゼロ点調整(キャリブレーション)を行う
  3. 規定のエア圧でシリンダを動作させる
  4. ロードセルの出力値を記録し、計算値と比較する

代表的な測定機器

  • フォースゲージイマダエー・アンド・デイ):手軽に測定できる手持ち式
  • ロードセル+表示器:設備に組み込んで継続監視する場合に使用
  • 圧力センサ+ひずみゲージ:より精密な計測が必要な場合

実務で注意すべきポイント

計算値と実測値がズレる主な原因

  • エア圧力が設定値より低い:レギュレータから遠いシリンダほど圧力降下が発生する。シリンダポート近くで実測する習慣をつける
  • 配管径が細すぎる:継手や配管の内径が小さいと背圧が上がり推力が低下する。推奨内径はシリンダポート径以上
  • パッキンの劣化:長期使用で摺動抵抗が増える
  • スピードコントローラの絞りすぎ:メータアウト制御で背圧が高くなると推力が低下する

推力を変えたいときの3つの方法

  1. レギュレータでエア圧を調整する(最も簡単)
  2. 増圧弁(ブースタ)を使う:工場エア配管(0.5〜0.7MPa)以上の推力が必要な場合
  3. シリンダを1ランク上のボア径に変更する:根本的に推力不足の場合

まとめ

エアシリンダの推力選定で覚えることは、以下の3つだけです。

  • シリンダが太いほど、エア圧が高いほど推力は強い
  • 引き込み側は押し出し側より約10%弱い
  • パッキンの摩擦や配管抵抗で、実推力は理論値の50〜70%に落ちる

細かい計算式を覚えるよりも、上の一覧表と3つのポイントを押さえておけば、実務で困ることはまずありません。

出典

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